1年ぶりの再会。来賓の方から激励をいただいた。
「友よ!久しぶり。元気だったか?」
もちろんだ。
この大会に参加することをどんなに楽しみにしていたことか。
1年ぶりに、このグランドに帰って来たんだ。
「何っ?友よ?友ちゃん?板野 友美ちゃんが来てるの?」
この1年でAKB好きになったらしい友人は、これだから困る。
「友」という言葉を耳にすると、板野 友美さんを連想するらしい。
そんな友人との1年の歳月を感じる再会も、また嬉しい。
こうして、渋谷区サッカー協会(SFA)が主催する毎年恒例の[渋谷区・伊豆諸島親善サッカー大会]が、2月27日(日)に渋谷区スポーツセンターで開催された。
サッカーでの親睦を目的に、伊豆諸島の各島チームと渋谷区チームが集うこの大会も、今年で14回目。
各島の方々とSFAの選手、関係者との出会い、各島においては離島した方々との再会など、この大会はその歴史の中で、多くの役割を果たしてきている。
そして今年もまた、この大会のために、開会式に来賓の方が来てくれた。
桑原 敏武渋谷区長、三宅 正彦東京都議会議員、松岡 定俊渋谷区議会議長。
毎年、温かい激励のお言葉を、ありがとうございます。本当に嬉しいです。
今日の青空のように、心も晴れ晴れだ。
そんな青空の中を、1枚の紙切れが飛んでいた。
白熱の予選リーグ。友とのサッカーは楽しい。
参加チームは、八丈島、青ヶ島、三宅島、大島、神津島からはFC神津と神津VFCの2チーム、SFAからは1種選抜のミュンヘン渋谷(M渋谷)とSFA役員関係で構成された渋谷ユナイテッド(U渋谷)の計8チーム。8人制の予選リーグでは、これを4チームずつの2リーグ(ブンデスリーガ、プレミアリーグ)に分け、総当たり式で行われた。
再会、開会式での和やかな雰囲気から一変し、両リーグとも試合はどれも激しいものばかり。
ブンデスリーガでは、とくに八丈島の集中力が際立ち、接戦ながらもM渋谷と神津VFCを撃破。
しかしその八丈島に青ヶ島が土をつけるなど、最後まで順位がもつれる展開が続いた。
一方プレミアリーグも、僅差の試合が繰り広げられる。
渋谷Uと大島がともに先勝し、第3試合で対戦するも引き分け。
両チームとも他を引き離すことができない。
FC神津と三宅島も、各試合とも接戦に持ち込みながら、勝ちきれない。
プレミアリーグも最終戦まで、順位が決定しない緊迫の展開となった。
両リーグとも激しい試合が繰り広げられたが、どれもフェアだ。
仲間を、相手を、審判をリスペクトしている試合だ。
だから楽しい。
見上げれば、あの1枚の紙切れがまだ舞っている。上空は風が強いのだろうか…。
11人制の順位決定戦は、両リーグの同位同士の対決。
親善を目的に一部を変更したが、どれも好カードばかり。
「神津VFC vs 渋谷U」は、結果的に点数は開いてしまったが、最後まで両チームとも手を抜くことなく走り続けていた。
「青ヶ島 vs 三宅島」は、PK戦までもつれる波乱の展開に。
「M渋谷 vs FC神津」は、選手たちに戦術が浸透していた、ハイレベルのサッカーが行われた。
そして優勝を決める「八丈島 vs 大島」は、八丈島に引けを取らないくらい大島の集中力も高く、序盤から一瞬たりとも気の抜けない激しい攻防が繰り広げられた。
そんな熱い戦いだからこそ、選手たちの顔には充実感がみなぎっている。
ハーフタイム時、ベンチに引き揚げる選手たちから、「緊張感があって、本当に楽しい」という声が聞こえたほどだ。
しかし、そんな楽しい時間も、やがては終わりを告げる。
「ピッ、ピッ、ピッー」
優勝決定戦の終了を告げる笛が鳴り響く。
ノーサイドだ。
「ノーサイドはラグビーの言葉ではなく、元々はサッカーの言葉だった」という宗宮SFA理事長の言葉を思い出す。
でもサッカーとラグビーは元々は1つの競技。
みんな仲間さ。
お疲れさま。
順位決定戦は八丈島が優勝。
そして、再会を約束した旅立ち。
「さあっ、友よ!盛若(もりわか・神津島産の麦焼酎)で乾杯だ!」
今夜は大いに飲もうではないか。
「何っ?友よ?友和さん?三浦 友和さんが来てるの?」
この1年の間に『沈まぬ太陽』を観たらしい友人は、これだから困る。
渡辺 謙さんよりも三浦 友和さんの演技に感動したらしい。
「じゃあ、また来年もここで会おう!」
もちろんだ。この大会で再会するという約束があるからこそ、また旅に出られるんだ。
風が止んだのか?あの1枚の紙切れが落ちてきた。
こう書かれてあった。
【①サッカー②ハッカー③ロッカー、仲間外れはどれだ?】
(了)
左上から三宅島、青ヶ島、FC神津、大島、八丈島、神津VFC、渋谷ユナイテッド、ミュンヘン渋谷の各チーム
優勝の八丈島チーム
2011.02.27 並木橋のK